9月の発達障がいの座学 診断の今昔 時代と共に変わるもの
あんなに暑かった日々が過ぎ、秋がやってきました。
季節って過ぎていくんだな。
しろくまの庭の桜の葉が色づいてきました。
ハロウィンの飾り作りで作ったかぼちゃは、来週色づきますよ。(^^♪
精神科医である理事長による「しろくま 9月の発達障がいの座学」についてのブログです。
約30年前と比べると精神疾患の診断にも変化がある、というお話で始まりました。
例えば、うつ病の診断は増え、神経症という診断名は使われることが少なくなっている、といった変化です。
また2013年、4大疾病に精神疾患が加えられ5大疾病になりました。
これは疾病が社会に及ぼす影響を捉えなおしたものです。
さらに、そのような時代の変化・背景から、今後の精神医療の分野において理事長が必要だと考えていること、に話が及びました。
・診断の今昔 30年前と比べてみると
・4大疾病が5大疾病に
・時代背景や変化から求められていること
診断の今昔 30年前と比べてみると
「ざっくりとした説明ですが、、、昔と今を比べて増えた診断/減った診断のお話をしてみましょう。」
今回も興味深いテーマです。その一部を振り返って見ました。
「うつ病は増えています。・・・」
うつ病には典型的なうつとそうでない非典型があり、典型は変わっていないのですが非典型が増えたとのことです。
うん…、わかります。
30年も前と比べるとかなりなストレス社会、例えば職場環境では過剰労働やリストラが引き金となってうつの診断が増えることもあるだろうなあと思いました。
「統合失調症は長期入院から退院し社会復帰が進んでいる。また統合失調症と新たに診断されることが減っている。」
今まで統合失調症と診断されていたがASDと診断される例もあるとのお話でした。
「アメリカでは神経症の診断名に否定的」というお話も興味深かったです。
神経症には様々なものがありますが、時代によって捉え方が変わり診断名の使われ方も変わっていくのですね。
「知的能力障がいの診断が増えている。支援学校が足りないくらい。」
高齢出産が増え出産時の様々なリスクの上昇、添加物などの合成化学物質の影響、心理検査の実施数が増えていることなどが要因であるとのことです。
「昔は胸のあたりに手を当てて目に見えない心を表していたが、現代は脳の脳内ホルモンの働きが解かる時代となり、モノアミン等が注目されている。」
診断技術の向上と社会の変化で診断も変わっていくだろうというお話でした。
4大疾病が5大疾病に
講座の中で5大疾病に話が及びました。
2013年、がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病の4大疾病に精神疾患が加わり5大疾病となりました。
“五大疾病とは” と調べると、
・患者数が多く国民に広くかかわるもの
・死亡者数が多いなど政策的に重点が置かれるもの
・症状の経過に基づくきめ細やかな対応が必要なもの
・医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なもの
(5疾病・5事業について 厚生労働省 より引用)
精神疾患が加えられた背景として、職場でのうつ病や高齢化による認知症が年々増加し、国民に広くかかわる疾患として重点的な対策が必要と判断された為、とあります。
5大疾病とする方針に先立ち2008年厚労省が行った調査、精神疾患の患者数は約323万人。
4大疾病の中で一番多かった糖尿病約237万人を大きく上回り、なんとがん患者数約152万人の2倍!
要するに、平たく考えると・・・・
「だれでもかかるんや」とあらためて思いました。
例えば当スタッフはがんに対して「自分は大丈夫でしょ」「自分には関係ない」と思っています。
でも実際は2人に1人がかかる病気です。
精神疾患も同じで患者数は実はがんよりも多い。
お話を聞きながら、「自分だけは大丈夫」なんて思っているといざ不調をきたした時、自分を受け入れがたく感じるのではないかしら、等いろいろ考えてしまいました。
時代背景や変化から求められていること
講座の後半で、このような時代背景や変化から、これからの精神医療の分野において理事長が必要だと考えていることに話が及びました。
「小児科の先生と連携を図っていこうと思うんだ」
「連携は中々難しいことがいろいろあるけれど、近々やっと小児科の先生方と会議をする運びになったよ」
「大人になってからでは治療が難しいことも多々ある。
小児科の先生方と発達障がいの事例等をもっと情報共有して、早い年齢で診断できた方がいいからね」
講座の内容を振り返ろうとネットで関連する情報がないか見ていたのです。
するととても興味深い記事がありました。
本年令和4年から高校の保健体育の教科に「精神疾患の予防と回復」の内容が盛り込まれた、というのです。
教科書に精神疾患名・症状および対処が記載されるのは40年ぶりなのだとか!
指導要領では、
・心身の不調を早期発見し、早期治療や支援で回復可能性が高まること
・相談や早期治療を受けやすい社会の環境を整えることが常用であること
・精神疾患に罹患することや障がいをきたすことは差別や偏見の対象ではないこと
等が高校生に理解できるようにすることが求められています。
記事の中では世界保健機構のまとめにもふれられています。
それによると、
生涯に4人に1人は何らかの精神疾患に罹患しながらも、その3人に2人は受診したことがないのだそうです!
未治療や受診の遅れは優れた治療が開発され回復の可能性が高まっている中とても残念なことです。
また、成人の精神疾患のうち50%は14歳までに発症しているとの記載もありました。
(以上 NHK解説委員室の記事より抜粋
水野雅文「若者に知ってほしい精神疾患」 NHK解説委員室 )
理事長が持っていた長年の懸案、当地域における小児科との連携へ向けて一歩が踏み出されようとしています。
相談タイム
約2年半に及び続けられている「しろくま 発達障がいの座学」
相談タイムも打ち解けた雰囲気になっています。
直接の相談ではなくても、他の参加者の人たちとのやり取りを聴いてヒントを得たり、共感を覚える機会となることもあります。
医療法人の運営ならではのプログラムや機会が、お一人お一人の問題解決の糸口になればと願っています。
しろくまでは就労支援機関とも連携をとりながら、主に生活訓練を行っています。
就労も日常生活の上に成り立っています。
しろくまではこの日常生活に焦点を当て、学習プログラムや体験型グループワーク学習を
通して日常生活に不可欠な能力の向上を目指しています。
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生活訓練通所施設 しろくま
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