発達障がいの座学 | しろくまの学習プログラム

しろくまの学習プログラムのひとつ、医師である横内理事長による発達障がいの座学が行われました。

学習プログラムは多目的室で行われることが多いのですが、この日は見学の方もあり参加人数は7名、急遽リビングでの開催をセッティングしました。

密を避け、空気清浄を行い、理事長の講話がほぼ定刻に始まりました。

この日の流れは

・口頭での指示を忘れてしまう時の具体的な対処法

・指示を実行に移すための脳の機能 ワーキングメモリー

・ワーキングメモリーはトレーニングすることで改善される

・相談タイム

口頭での指示を聞き逃してしまう時の具体的な対処法

「仕事などで口頭で出される指示が苦手だ、覚えきれなくて困ってしまう」
そんな場面に備える対処法が示されました。

発達障がいの特性で聴覚による記憶よりも視覚情報の方が定着しやすい場合があります。
これに注目します!
つまり“文字”にしてしまう。

① WEMOを利用する

WEMO(ウェモ)ウェアラブル、身に着けられるメモをご存じですか? 
手首に巻いて使い、ボールペンで字が書けて、消しゴムや指で消せて繰り返し使えます。

上司の指示を忘れまいと慌ててポケットからメモ帳を取り出すそのひと手間が省け、しかもペンを持つ片手だけでさっとメモが取れる。
(昔は手のひらや甲によく書いて、あれ、消すの大変でした。)

そして、手首に巻いているので書いたメモが常時目に入ってきて忘れない!

WEMO

なんとこのWEMO、2018年に文具大賞機能部門優秀賞を受賞した日本発の商品なのだそうです。
日本人の発想をちょっと誇らしく思います。

② 指示を復唱する 

視覚化ではないですが、出された指示を復唱すると覚えやすい。
単に聴くだけよりも、自分自身で繰り返すと記憶の定着に効果があります。

そして復唱の利点は、間違っていたら訂正してもらえること!
指示内容を勘違いしたまま理解することや、聴き間違いを防いでくれます。

復唱する

復唱はぜひとも習慣化したい工夫のひとつです。

③ パターン化する

仕事は一定のやり方が決まっているものがあります。
あらかじめ幾つかの手順を自分なりにまとめてパターン化しておくのも工夫のひとつです。

パターン化

④ 口頭ではなく指示を視覚化してもらう

指示をラインやメールでもらう。

指示を視覚化

「もちろん上記の方法だけでなく、試行錯誤で自分に合った工夫を重ねていくことが大事、上手くいくやり方が見つかればさらに工夫できるようになり、自信につながります」
とのお話でした。

指示を実行に移すための脳の機能 ワーキングメモリー

言われたことを覚えておくのは、脳のどんな仕組みなのでしょう。
これにはワーキングメモリー(作業記憶)が関わっている、とのお話が続きました。

ワーキングメモリー

・・・情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。

ウィキペディア

つまり、指示を実行に移すために一時的だけど必要な情報を覚えておく脳の機能。
さらに、一時的に覚えた情報に基づいて作業や指示を効率よく実行できる能力。

発達障がいの特性によってはこのワーキングメモリーの活用に得意や苦手が生じると説明が続きました。
じゃあ、苦手な場合、なにか良い方法はないでしょうか?

ワーキングメモリーはトレーニングすることで改善される

「しろくまで行っている学習プログラムFEP(前頭葉実行機能プログラム)などでこのワーキグメモリーをトレーニングする」
「ワーキングメモリーをトレーニングすると物事が上手くいくことが多い。」
「FEPで認知機能が改善したという研究成果も出ている」等、理事長の講話が続きます。

ここでFEPの一例として、実際に行っているワークが精神保健福祉士より紹介されました。

理事長「心理テストはあくまで検査、また、薬で発達障がいの凹凸が治るわけではない。(改善される部分もある)
認知機能の維持や向上にはFEP等で脳をトレーニングすることが大事。
1~2しかできなかったことが3~4出来るようになれば自信がつく。」

スタッフの一人は「FEPって実際の生活の場面ではどう活用できるのだろう?」と疑問に思っていました。

認知の困難さは日常の様々な場面で悩み事になります。
注意の散漫さは会話をしたり本を読んだりすることに、
また記憶することが苦手であれば、買い物や忘れ物などで困ることでしょう。
認知機能が改善されれば生活がしやすくなると今回の学習会で思いました。

理事長 「やりっぱなしではなく、何度もやる、日々の練習、その日やったことを振り返る、復習するとより効果が望める」

参加者のお一人から、
「そうですね、反転図形ですが、1回目より2回目で見えてくるようになりました」

しろくまの昭和大学の学習プログラムも何度も繰り返して行われます。
同じ内容であっても、毎回新しい気づきがあります。

相談タイム

講義のあとのリラックスした雰囲気の中で、いつものように雑談も交えて相談タイムです。

相談タイム

しろくまでは就労支援機関とも連携をとりながら、主に生活訓練を行っています。

就労も日常生活の上に成り立っています。
しろくまではこの日常生活に焦点を当て、学習プログラムや体験型グループワーク学習を通して
日常生活に不可欠な能力の向上を目指しています。

しろくま

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