発達障がいの座学 「社会的コミュニケーション」しろくまの学習プログラム
しろくまの学習プログラムのひとつ、医師である横内理事長による発達障がいの座学が4月19日行われました。
この日は初めて参加される方、見学の方の来所予定もあり、広いスペースのリビングに会場をセッティングしました。
この日の主なテーマは「社会的コミュニケーション」です。
人とコミュニケーションをとるって、言葉のやり取りはできてもその場の雰囲気や相手の志向が読めないと、中々上手くいかないことがあります。
・6年前は簡単に出来たことが今回は困難であったこと
・他人のトリセツ、作ってみよう!
・精神科医が診察室で元気いっぱいだったら・・・?
・相談タイム
なのですが、始まる前に理事長からBigなお知らせがありました。
なんと、横内理事長がテレビに出演します!
毎日放送が毎週日曜に放送している番組、「医のココロ」をご存じですか?
皆さんが日頃気になっている疾患について、地域医療に接し様々な形で社会貢献を進めている先生方に解説いただくことで、その疾患に対する正しい知識を得ていただく番組です。
医のココロ HPより
・放送日:5月29日(日曜日)あさ6:00~6:10 4チャンネルです!
・テーマ:ストレスがもたらす病気
皆さん録画をセットするか早起きして、ぜひご覧くださいね。
6年前は簡単に出来ていたことが今回は困難であったこと
理事長は近々、抗うつ剤についてのプレゼンテーションを行う予定で、そのためにたくさんのカルテを参照し、病名や数値を集計分析する必要があったそうです。
「同じような集計と分析は6年前にもする機会があった。
しかし今回は6年前と比べてかなり困難を覚えた。」
前回はカルテを見ただけで病名コードがすぐに頭に浮かんだが、今回は簡単にはいかなかったそうです。
なぜか?
患者様の顔! なのだそうです。
精神科の診察で非常に大切な視診、
それがマスクとアクリル板によって妨げられることがあり、患者さんの表情が読み取りにくくなった。
結果、患者さん達との距離が遠くなってしまい、カルテだけを見てする集計に困難を生じた、とのことです。
「ドクター側からの視診だけでなく、医師と患者さん双方の社会的コミュニケーションに支障が出ていると思っている。」
顔や表情から受け取る情報の重要性をあらためて痛感したとのお話でした。
「発達障がいの特性によって表情から相手の志向が読み取りにくいことがありますが、
コロナ禍におけるアクリル板やマスクで、その感覚を私もイメージすることができた気がする」
という言葉が印象的でした。
他人のトリセツ作ってみよう
社会では言葉だけでなく、顔や表情・その場の状況・相手に合わせたコミュニケーションが
求められます。
そんなときの工夫の1つ
「他人のトリセツを作ろう」というお話がありました。
「自分のトリセツ」はお聞きになった方も多いと思います。
個々の特性や困りごとは一人一人異なります。
具体的に書き出して対応策を見つけ、周りにもシェアして理解してもらい、お互いに過ごしやすい環境を作る為の取り組みです。
NHKわたしのトリセツ (PDF)
それの他人版!「他人のトリセツ」
上司や同僚との会話・やり取りは職場では欠かせません。
でもそれに困難を感じるようならば、Aさん Bさん 上司のCさん それぞれのトリセツを作ってみようという提案です。
名前や髪型・体型など、趣味や冗談言えそうかどうかなど、自分なりにとらえた印象を書き出し、相手の志向(どんなことをどんなふうにしたいと思っているか)をつかむ手掛かりにするというものです。
「他人のトリセツ」、
相手によって接し方を変えるというと聞こえは悪いですが、これ中々大事なことですね。
精神科医が診察室で元気いっぱいだったら・・・?
「相手によって接し方を変える」ってつまりKY(空気読む)のことでしょうか。
理事長から面白い例えがありました。
大学病院で研修を受けていたある医師から
「精神科の医局、どのドクターも雰囲気が静かすぎてびっくりしました。」という話を聞いたのだそう
です。
「本来の性格はそれぞれでも、医師は診察室では患者さんの様子をみながら対応している。
特に精神科では気分が落ちている人が来院する。
そのような患者さんに対して医師が診察室で元気いっぱいだったら患者さんが戸惑うでしょ。
常に周りやその場の状況に合わせて対応しているので、それが長年の間に体に浸み込んで、
びっくりするほどの静かさになっているのかもしれないね。」
と答えたそうです。
話し相手や状況に応じたコミュニケーションはすぐに身につくものではありませんが、基本の
あいさつや診察室を出入りするときの振舞などを例に挙げ、小さな工夫で身につく習慣を重ねていこう
とお話が続きました。
相談タイム
約2年に及び続けられている「しろくま発達障がいの座学」
相談タイムも打ち解けた雰囲気になっています。
「こんなこと、診察室では先生と話せないよねえ」みたいな気楽な話題も登場します。
しろくまでは就労支援機関とも連携をとりながら、主に生活訓練を行っています。
就労も日常生活の上に成り立っています。
しろくまではこの日常生活に焦点を当て、学習プログラムや体験型グループワーク学習を
通して日常生活に不可欠な能力の向上を目指しています。
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